2018年 02月 22日
たかが糸 されど糸 |
気がつけば、2018年がスタートして2ヶ月が経過してしまった。記録的な寒波の影響により大雪となったり、インフルエンザが過去最大の感染者(データをとりだしてから)となり波乱の多い始まりとなっている。
今年のカジキシーズンはどうなるのだろうか。
ラニーニャも起きているようだが…。
さて、2017年に「ナイロンラインとポンピング」についてを書いてみた。その際に、あまりメリットについてを書かなかったため少し書いてみようと思う。
話は変わってしまうが近年の人類は、「退屈を知らない世代」と表現すると非常にしっくり来てしまう。これは、以前お話を伺う機会があった、イジメ問題に全国で取り組んでいる著名な先生が話をしていた中で表現されていたものだ。
自分を含め、多くの人間がスマートフォンやPC等を使用しネットワークから様々な情報を簡単にあらゆる場所で得ることが出来るようになった。情報の中には娯楽も含まれている。
暇さえあれば情報をあさり、娯楽を楽しむ。退屈な時間とは疎遠な生活だ。
情報や娯楽は、必要な物も、そうで無い物もあふれかえり取捨選択も難しくそれに振り回されているのかも知れない。そんな日々に慣れてしまっている。
釣りに於いてもそのような側面があるのでは無いだろうか?と感じている。感度の良い竿、伸びのない感度の良いライン。
多くの情報が受け取る事ができ、魚が釣れない時間であっても退屈する事が少ない。
そんな情報量の多い感度の良い物は今の「退屈を知らない世代」(自分も含む)に合っているのだと思う。
しかし、それによって感度の低い物があまりにも低く評価をされ、蔑ろにされているように感じてしまう。果たしてそこまで多くの情報が必要なのであろうか?釣りのスタイルによっては感度を求めなくても良いのでは無いだろうか?感度を優先するが為に犠牲になっている事があるのではないだろうか?
ナイロンラインもそのような側面があるように個人的には感じている。
前記事「オフシーズンに考えること」の中で書いている事と重複するが。個人的にはラインのマテリアルによる絶対的な優劣は無く、ただその特性を吟味し使用用途にベストである物を選ぶだけであると考えている。
自分が行う釣りに於ける「ナイロンラインのメリットとデメリット」についてを書いてみたい。
今回も前回と同じようにブレイデッドラインとの比較も入れながら書くこととする。
ナイロンラインの特徴は
1 伸びる
2 吸水する
3 同じ破断強度ならばブレイデッドラインより太い
簡単に書くとこれくらいだろうか。他にもあるが書き切れないため便宜上割愛する。
1 の伸びる事についての自分の釣りに於けるデメリットはフッキングパワーを伝えることが難しく、硬いカジキの口にどのようにして針を刺すか?これくらいしか他に思い当たらない。これについては解決策は済んでいる。
メリットについては、この記事を書いている最中に「磯の作法2」にて青木氏が素晴らしい内容を書かれていた。自分がそれ以上の内容を書くことは間違いなく出来ず、そちらを読んで貰えればと思う。
幸い許可を頂く事が出来たためこちらにリンクを貼らせて頂く。
※引用の許可を頂いた青木氏にこの場を借りて感謝をいたします。ありがとうこざいました。
また、今回もお力添えを頂いた釣竿工房月さんにも感謝をいたします。ありがとうこざいました。
2 の吸水についてであるがデメリットからまず書きたい。前回の記事を書くにあたり、頂いたサンラインさんの資料によると。様々な条件などを抜き一般的なナイロンラインに於いては、吸水により強度低下が起きる。(海水、真水によっての違いもあるであろうが)5~10%程の強度低下をするようである。そして、その強度低下は、3時間程で平衡状態となりその後は変わらない様である。つまりファイティングタイムが長くなれば強度低下が大きくなっていくと言うことだ。この5~10%の強度低下を「問題ないと」みるか、「問題がある」とみるかは個人の考えや釣りのスタイルによるだろう。
また、この吸水による強度低下は、乾燥状態(表現が正しいかはわかりませんが…)に戻ることによって初期(吸水前)の強度に戻るようだ。
そして、この吸水、乾燥を繰り返す事による強度低下は資料によると起きないようだ。(資料内では3回までであるためそれ以上の回数による強度低下については不明)
乾燥状態に戻るためには自然状態では、約40時間程かかるようである。(湿度や温度によっての時間の増減については不明なためあくまでも目安)
以上がデメリットの主なものであろう。現在は各社ナイロンラインに様々な加工をし強度低下等に対策が施されているようだ。
では、メリットについてである。
ブレイデッドラインは吸水しないとされている。
吸水する物としない物では、同じ容積、同じ形状の物体であっても水中を移動をさせようとすると吸水をする物の方が水の抵抗(摩擦?)をうける事になると考えている。(細かい理屈は後日追記するかもしれません)様々な条件に目をつぶると、同じ太さのラインであってもナイロンラインとブレイデッドラインを比較するとナイロンラインの方が水に絡みやすい(抵抗をうける)と考えられるのではないだろうか?
水の抵抗をうけると言うことが何故メリットになるかは次の太さの中で説明をしたい。
3 同じ破断強度である場合の太さによるデメリット
これは、ご存知の方がほとんどであると思われるのであまり多くは書かないが、太いナイロンラインは、水に良く絡む。潮流に流されやすい。沈める釣りでは、細いブレイデッドラインよりも流されてしまう。また、流れにドリフトをさせれば、細いブレイデッドラインより流されルアーは引きずられてしまう。しかし、これらは自分の主たる釣りに於いてはあまり関係がない。
そして、太い事により空気抵抗もふえ飛距離がへってしまう。(太さ以外にも硬さやその他のマテリアルごとの影響もあるが今回は割愛)これについては自分の釣りでは関係をするが対策済みである。
次に太さによるメリット。これは、魚とのやり取りについて伸びる事と同じくらい自分の釣りに於いては大きなメリットになると感じている。
まず太いと言うことで、擦れに対してメリットがある。長時間のやり取りになればガイドによる擦れによって多少なりともラインは、削られてしまう。
また、これは、自分の釣りには、関係が少ないが根に擦れる事に対してもメリットとなるだろう。(マテリアルの種類により擦れに対する強さが違う事について後日追記するかもしれません)
更には太い事による水切れの悪さがやり取りでは、大きなメリットを生む。これについては文字だけでの説明が難しいため想像力を働かせ読んで貰えたらと思う。
まず、水という物は密度が高く粘りもある物である。空気に比べるとかなりそれらは大きいだろう。密度が高く粘りが強くなればなるほど、その中でのラインはより影響を受けやすくなる。
ここで想像をして頂きたい。
水気を多く含み流動性のある泥がある。20mほどのロープが両端3mほど残し泥の中に埋まってしまっている。ロープは、泥の約1メートル程の深さに埋まっているとしよう。ロープは泥の中では中央が1番深い所に位置をし、下方に孤の字を描き両端に向かって上昇している。上方からみれば両端とロープは一直線になっている。
このロープを回収しようとする時にはどうしたら良いだろうか?魚とのやり取りに関連するであろう回収法は2つであると思われる。
1つは、ロープを片側から手でたぐり寄せる。こうする事によってロープは長軸方向に移動をし、泥をトンネルのようにすり抜けてくる。
2つめは、2人の人間で各々両端を持ち同時に上方に引き上げるようにする。ロープは全体を上方に引かれ泥を割るように姿を現す。この方法を回収のために敢えて選択をする人はあまりいないだろう。泥がロープに絡みつき重く、そして2人がかりであっても大変であることが容易に想像出来るからである。そして、このロープが太くなればなるほど上記の影響は強くなるだろう。(太くなることによる重さも影響があるであろうが便宜上割愛)
さて、上記の事も水に於いても同じ事が起きている。そして、ラインで繋がる人間と魚では同じ引っ張り合いをしているようで違う事がある。人間は位置移動をしていない(船上にいることにより潮で流されている事は便宜上割愛する)が、魚は常に位置移動をして引っ張り合いをしていると言うことだ。
まず解りやすい状況に於いて説明をしてみたい。
魚が正面にいる状態から右方向へ走り出したとする。するとラインは、左側へ孤を描き膨らむ。その状況は、魚にとって上記の2の状況のようになる。ラインがうける水の抵抗を引きずりながらすすむ。では、この状況に於ける人間はどうだろうか?1の状況に近くなる。もちろん右方向にねじられる力が多少働くが、ラインの長軸方向に引かれる力がかかることが大半である。ドラグがでる場合であっても同様であろう。位置移動をしない人間はただ、ラインが引き出される力(ドラグ設定値)のみがかかり続ける。しかし、魚は走り続ける間ドラグ設定値+孤を描くラインの水の抵抗を引きずり続けなくてはならない。そしてラインが長くなればなるほどラインが描く孤の大きさは大きくなり水の抵抗が増える。
では、次に魚が人間に対して正面方向に走る事を考えてみたい。これについては、魚の存在する(生息域という意味では無い)水深によって影響の大きさは違ってくるだろう。
魚が表層に近くに存在すれば、人間と魚が作るラインの水に対する入射角は浅くなりラインが描く孤は小さくなり水の抵抗はそれなりであると考えられる。
しかし魚が深く存在することで人間と魚が作るラインの入射角は水に対して深くなりラインが描く孤は大きくなり水の抵抗は、大きくなるだろう。(水深よる圧力の差は便宜上割愛する)
この際(上記の場合)のラインの描く孤は、人間側に下方に膨らむ。そして、魚側に近い側ではラインは直線的な所が長くなるのではないかと考えている。これは、魚は、位置移動をしていて、人間は位置移動をしていないためだ。魚側は、直線が多くなり人間側に孤が近く出来ることは側方に魚が走る場合も同様であると考えている。
正面方向に魚が走る事については、魚とのやり取りについて少し良くない副産物もある。ラインが下方に孤を描き水の抵抗を受ける場合、魚を下方へ沈める力も働いてしまう。そのため走りが長くなると魚が沈んでしまう。あまりにも魚が沈んでしまうと魚のキャッチ率がさがる場合がある。(この理由については今回は割愛する)
今回ナイロンラインの自分の釣りに於けるメリットとデメリットについてを書いてみた。今現在の自分の理解であり今後変わってしまう可能性は無いとは言えないかも知れない。また説明の便宜上、細かな他にも起こり得るであろう事も省略してあり、用語も正しくは無い可能性もあるかも知れない。そして、正確とは言えない内容も含まれているかもしれない。しかし、イメージとしてナイロンラインを何故自分が使うのか?と言うところが伝わればと思う。
魚が沈んでしまった場合の対処についても書いておきたい。これは、オフショアでの事ではあるが。以前カジキをキャッチした際の記事でも書いてあるが魚に対して船を反対方向に走らせる。(速度は速くない)すると、人間側が位置移動をする事になる。魚側に上方にラインが弧を描き魚が上方に引かれる力が働く。もちろん人間側にも様々な力が働いたりデメリットもあるが魚を浮かせる事が出来る。
長々と書いてはみたが上手く説明が出来なかったかも知れない。あとは、皆さんの想像力で補って貰えればと思う。
ここまで書いてきた事を考慮に入れるとやはり自分の釣りに於いてはナイロンラインはメリットが大きい。実際には他にも多くの状況やナイロンラインの特徴を考慮に入れている。
魚は水の抵抗と伸びに苦しめ続けられ疲労して行くのである。それに対し人間側は、影響がないとは言えないがかなり少く有利である事が多い。
今回書いた以外にも伸びや太さによるメリットもまだまだ存在する。そこを考え自分の釣りのスタイルにどう取り入れていくか。考えれば考える程釣りが楽しくなっていく。今後もまだ見いだせていないメリットやデメリットも出てくるかも知れない。新たな発見を楽しみながら魚に迫って行きたい。
by uminokotowari
| 2018-02-22 18:46
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